ヤマハ発動機株式会社
松下香織さん(仮名・安全保障貿易管理) 44歳
年齢や経験で諦めない!コンサルタントと時間をかけて叶えたキャリアアップ転職。
自動車部品メーカーで20年のキャリアを積んできた松下さん。仕事は順風満帆で、安定した収入と定時退社できる理想的な職場を手にしていた。しかし、40代に突入した時、「このままキャリアを終えていいのか」という疑問が芽生えた。
そして、もっと自分にできることがあるのではないかと考え、転職を決意。しかし、40代で管理職経験のない松下さんにとって転職活動は決して簡単なものではなく、時には心が折れそうになることもあったという。
それでも、一年半をかけて転職活動に取り組んだ結果、県内でトップクラスの人気企業であるヤマハ発動機への転職に成功。そんな松下さんに転職活動を振り返っていただいた。
※本記事の内容は、2025年6月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで540日間
転職前
- 業種
- 自動車部品メーカー
- 職種
- 安全保障貿易、海外物流管理
- 業務内容
- 海外事業部における貿易関係全般、海外物流管理や安全保障貿易管理。
転職後
- 業種
- 輸送機器メーカー
- 職種
- 安全保障貿易管理
- 業務内容
- ロボティクス事業部における安全保障貿易管理。
キャリアも後半戦に突入。このまま終わるまいと、安定よりも挑戦を選んだ。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ヤマハ発動機株式会社は静岡県磐田市に本社のある、輸送用機器メーカーです。オートバイや電動アシスト自転車、マリン製品などのモビリティのほか、法人向けに産業用ロボットやマウンターなどを開発、製造、販売しています。
私は事業企画グループに所属し、浜松市の事業所でロボティクス事業部における安全保障貿易管理業務を担当しています。
安全保障貿易管理は海外の企業と取引を行うにあたり、その企業の事業内容や素性などの調査と用途確認を行い、製品自体が法令規制の対象かどうかの判定結果とあわせて総合的に審査し、取引可否を判断するものです。
審査の実務も行いますが、ロボティクス事業部の安全保障貿易管理が適切に機能しているのかを確認、監督していくことが私のミッションです。
入社前のご経歴を教えてください。
浜松市出身で、小学生の頃から通訳の仕事がしたいと思っていました。そのため高校卒業後、中国・上海の大学に留学して中国語と中国文化を学びました。
卒業後は日本に戻り、浜松市にある自動車部品メーカーに入社。国内外の自動車メーカー向けに自動車部品を開発し販売している会社でしたが、私は海外事業部で貿易関係全般、海外物流管理や安全保障貿易管理を担当していました。
中国や東南アジア、アメリカにある海外の拠点や取引先との受発注管理などの貿易事務全般、物流の企画から改善までを手がけていました。現職と同じ安全保障貿易管理の仕事にも従事していましたが、当時の取引先は、ほとんどがグループ企業でした。
転職のきっかけは?
キャリアアップしたいと考えたからです。前職の仕事もやりがいがありましたが、海外の取引先の多くがグループ企業だったので、安心して業務に取り組める一方で仕事としては毎日同じような内容でした。
そのまま会社に所属していれば定年まで安泰だったのですが、ある日「このままでいいのか」と疑問がよぎったのです。
その時、私は40代前半でキャリアとしてはちょうど半分きたところ。あと半分は、「もう少し違うことにも挑戦してみたい」「転職にチャレンジして自分の知見をもっと広めたい」と考えるようになりました。
転職活動はどのように進めましたか?
数年前から某大手転職サイトを利用していましたが、なかなか書類選考から先へ進みませんでした。すると、担当者が次々に変わっていくのです。何が原因で進まないのか聞いても当たり障りのない回答で何をどう改善すべきかが分かりませんでした。
とにかく毎日のように求人紹介のメールが来て、「100社以上は応募してください」と言われました。40代の女性で管理職経験なし、という条件では合う求人が少なく、あっても書類審査で負けてしまうケースが多いので、少しでも希望と合致する求人であれば応募していました。
しかし、これでは疲弊してしまいます。そんな時「リージョナルキャリア静岡(株式会社リンク・アンビション)を利用して転職して良かった」という方の話を聞きました。早速私も紹介してもらい、二つの転職支援会社を並行して利用することにしました。
早速担当コンサルタントの植松さんから連絡をいただき、オンラインでの面談を設定。転職の希望条件をお伝えし、履歴書と職務経歴書をチェックしてもらって、「こういう内容を入れた方がいい」といったアドバイスをいただきました。
その後、私が求めている条件に近い求人があると、随時メールで送っていただきました。求人紹介数は、大手転職サイトと比べると少ないのですが、しっかり私の希望に合った案件を送ってくださっているのがわかりました。
このようなやり取りを1年半ほど続け、求人を吟味しながら自分のペースで転職活動を進めることができました。
今の会社に決めたポイントは?
グローバル企業で私の求めていたステップアップを叶えられそうだと思いました。また、ヤマハ発動機に勤めている知り合いが何人かいて、みんな仕事が楽しそうだったんです。
同じ会社の社員が集まるとよく会社の愚痴を言ったりしますが、そういうことがまったくありませんでした。実際に入社してからも、派閥同士の争いなどはないですし、トップダウン型の上司もいません。
会社の大きさや業績の安定性について、私はあまり重要視していませんでした。それよりもいろいろな考えの人がいる中、お互いに「それもいいよね」と言い合える環境が魅力的だと思っています。
40代、女性の転職活動は妥協せずに希望を持っていれば、きっと叶う。
転職していかがですか?
希望していた通り、キャリアアップは叶えられたと思います。安全保障貿易管理については、前職でも担当していて知識もあったので、経験を活かせています。多少の違いはありますが基本を理解しているので、わからないところを学びながら取り組んでいます。
豊富な知識を持っている先輩がいて、何でも聞きやすいので助かっています。現職では輸出入の実務はありませんが、「輸出入はどのような流れになっていて、どこで何が必要か」といった内容をわかっていないと仕事ができないので、その領域の知識もあって良かったと感じています。
転職して良かったと思うことは?
スキルの向上だけでなく、肩書きの面でもキャリアアップできる環境を提供してもらえたことに、感謝しています。今は管理職を目指し、担当範囲だけではなく全体を見られるように日々勉強中です。
ヤマハ発動機は女性管理職比率を上げる取り組みを継続しています。本社に数人いるほか、私の所属するロボティクス事業部の本部長も女性なんです。かっこいいですよね。
困っていることや課題はありますか?
課題はヤマハ発動機のルールを覚えることです。すべての業務は法令の他、自社ルールに則って行われるべきですが、現場にも考えがあるので調整は難しいこともあります。
ルールを理解して覚え、それをしっかりと事業部のメンバーに伝えることで理解・遂行してもらうべく、毎日奮闘しています。
生活面での変化はありましたか?
前職の勤務時間は8時〜17時でしたが、現在はフレックス制で8時45分〜17時30分です。生活の時間帯は少し後ろ倒しになりましたが、最近は少し残業が増えています。
仕事は時間をかければいいというものではないので、今後は業務を整理して、オンオフの切り替えをしていきたいです。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
諦めずに、自分の希望する仕事を追い求めることが大切だと伝えたいですね。40代女性で、管理職経験もない。それでも希望する企業から内定が出ることもあるんです。
転職活動を始めて1年経った頃、ある会社に内定をいただきました。それまでなかなか内定が出なかったので嬉しかったのですが、入社を迷ってしまいました。面接担当者もいい方で、自分のスキルも活かせそうでしたが、ステップアップになるかが疑問だったんです。
そんな時、担当コンサルタントの植松さんに相談に乗っていただきました。そして「本当にやりたい仕事でないならやめた方がいいのでは」とアドバイスをいただき、その言葉に背中を押されて内定を辞退。その後、ヤマハ発動機から内定が出て念願の職種に就け、「あの時妥協しないで良かった」と心から思いました。
転職は人生のすべてではありません。もし今思うように進まなくても、自分の価値を否定する必要はありません。単に会社との相性やタイミング、縁が合わなかっただけというケースもあります。自分を責めずに、自分のペースで進むことを大切にしていれば、いつかきっと報われると思います。