ヤマハ発動機株式会社
鈴木歩さん(仮名・生産技術) 38歳
経験を活かして憧れの企業へ転職。年収アップし、家族との時間も増えて大満足。
静岡県浜松市出身の鈴木さんは幼い頃から自動車が好きで、大学では自動車関係の機械について学べる学部を選択し、卒業後は自動車部品メーカーに就職。工場で新製品のライン立ち上げ業務を担当していたが、残業が多く労働環境もハードだったという。
結婚して浜松にマンションを購入。子どもが生まれたにも関わらず、北九州の工場で家族と離れて暮らす日々が続き、「もっと家族と過ごす時間がほしい」という想いから転職活動を開始した。
リージョナルキャリア静岡から紹介されたのは、学生時代から憧れていたヤマハ発動機。経験を積んだ今、担当コンサルタントからアドバイスを受けてチャレンジし、見事内定を手にした鈴木さんの転職活動について伺った。
※本記事の内容は、2025年2月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで90日間
転職前
- 業種
- 自動車部品メーカー
- 職種
- 生産技術
- 業務内容
- 国内外の工場における新規生産ラインの立ち上げ、工程設計、および設備メーカーとの折衝
転職後
- 業種
- 搬送機器メーカー
- 職種
- 生産技術
- 業務内容
- 国内外の工場や取引先における製品の生産プロセスの改善企画、分析、実践業務、および改善手法に関する社内教育対応
経験を積み、新卒時に憧れたヤマハ発動機の選考にチャレンジ。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ヤマハ発動機は静岡県磐田市に本社を構える、オートバイを中心とした輸送用機器メーカーです。二輪の売上規模は世界第3位を誇り、電動自転車やボート、産業用ロボットなども製造しています。私は生産本部の生産革新技術部に所属し、輸送用機器製造の技術職に就いて2年経ちました。
トヨタ自動車には有名な「トヨタ生産方式」がありますが、ヤマハ発動機にも「理論値生産」という独自の理論に基づいた生産方式があり、それを指標に生産に関するすべてを改善していくのが私の仕事です。
大きなところでは、海外の拠点やサプライヤー、各工場全体、そして工場同士の繋がりについてなど、細かいところでは製造プロセスで「機械をこの位置に変更した方がいい」といった物理的なことまで、鳥の目線から虫の目線まで、さまざまな角度から改善を促しています。
現在は本社エリア内にある工場の改善に取り組んでいますが、入社してすぐは別の工場を半年ほど担当していました。現場から改善要望の声が上がることもあれば、こちらから声をかけて改善を促すこともあり、ニーズ次第で仕事場は変わります。
入社前のご経歴を教えてください。
静岡県浜松市出身で、幼少期から車が好きだったことから、乗り物に関わる機械について学べる名古屋の大学へ進学しました。
新卒で入社したのは自動車部品メーカーで、生産技術職として新製品の新規ライン立ち上げや、部品の設計変更に伴うライン調整などを手がけていました。
その後中国へ赴任し、日本に戻ってからは結婚して浜松のマンションに住んでいました。
転職のきっかけは?
転職を考え始めた当時、新製品ラインの立ち上げに伴い、九州の工場への長期出張を要請されていました。浜松に妻子がいるにもかかわらず、長期間九州で生活することになり、さらにプロジェクトの予算が限られているため残業が常態化。そのような状況の中で、家族との時間を持てないことが辛かったです。
また、当時は係長として部下を抱えていましたが、上のポジションが詰まっており、昇進の見込みが立たず、不安を感じていました。自宅のある浜松は妻の地元でもあるため、引っ越しはせずに転職先を見つけようと活動を始めました。
転職活動はどのように進めましたか?
転職支援サービスは費用がかからず、良いサービスが受けられると聞き、いくつかの転職支援会社に登録しました。
当初は大手の転職支援会社を中心にやり取りをしていましたが、対応がビジネスライクで、あまり良い印象を持てませんでした。そこで、ネット検索で見つけた「リージョナルキャリア静岡(株式会社リンク・アンビション)」と、もう1社に登録し、本格的に活動を進めることにしました。
リージョナルキャリア静岡の担当コンサルタント・伊藤さんが何社か紹介してくださった企業の中に、ヤマハ発動機がありました。ヤマハ発動機は新卒時にも憧れていた企業でしたが、当時は応募資格を満たしていないと思い、受けませんでした。そのため、今回チャンスがあることに驚き、嬉しく感じました。
ヤマハ発動機への応募は転職活動の後半で、すでに履歴書と職務経歴書の見直しを終えていましたが、伊藤さんはあらためて目を通し、書類対策を行ってくれました。
また、同社の選考の特徴についてもアドバイスをもらえたことで、大変心強かったです。他の転職支援会社と比べても、私の立場に寄り添い、親身になって支援してくれたと感じています。
今の会社に決めたポイントは?
昔から知っている地元の大企業であり、新卒時から憧れていました。また、業績が安定している点も大きな魅力でした。
ヤマハ発動機には親戚が数名在籍していますが、誰もネガティブなことを口にせず、良い会社だと感じていました。
他の企業からも内定をいただきましたが、評判などを参考に検討した結果、最終的にヤマハ発動機を選びました。
夕飯を家族と食べられるだけでも嬉しい。これまで苦労をかけた妻の負担を減らしたい。
転職していかがですか?
転職してから2年が経ちましたが、満足度は高いです。同じ部署にはエキスパートが多く、経験豊富な同僚から学べる環境に刺激を受けています。
現在のポジションは前職の係長レベルに相当し、一般職の中でも最上位のランクで採用されました。転職活動中は「年収が下がっても構わない」と考えていましたが、結果的に年収はアップ。これも担当コンサルタントの伊藤さんのサポートのおかげです。
所属部署も自分に合っており、とても働きやすい会社だと感じています。前職では残業が前提の働き方でしたが、現在は定時退社が当たり前。入社当初は早く帰れることに落ち着かないほどでした(笑)。
また、1年ほど前からフルフレックス制が導入され、在宅勤務も可能になりました。私の業務は現場対応が必要なため、基本的には毎日出社していますが、リモート研修時には在宅勤務を活用しています。
ちょうど昨日、通勤途中に電車が止まり、急遽在宅勤務に切り替えました。当日連絡すれば問題なく対応できるなど、フレキシブルな働き方が可能です。こうした柔軟な制度と自由な社風には、最初こそ驚きましたが、今ではすっかり気に入っています。
転職して良かったと思うことは?
仕事にやりがいを持って取り組めていることです。改善を行う際には、事前に数値で見積もった上で実行しますが、結果も数値として明確に表れることが多く、手応えを感じやすいです。
例えば、これまで10秒かかっていた作業が8秒で完了するようになったり、1時間で100個だった生産量が110個に増えたりと、改善の効果がすぐに実感できます。現場の人たちにも喜んでもらえることが多く、その反応を肌で感じたときに、大きなやりがいを感じます。
また、仕事の裁量が大きく、自由度の高い働き方ができています。経験豊富な同僚が多いため、万が一ミスをしても「アドバイスをもとに軌道修正し、やり直せばいい」と前向きに受け止めてもらえる環境です。
中途採用だからといってハンデを感じることもなく、積極的にチャレンジできる風土があります。実際、社内には中途採用の社員も多く、管理職として活躍している方も珍しくありません。
困っていることや課題はありますか?
課題という点では、社内ノウハウや知見のマニュアル化などはもっと進められる余地があると感じています。これは、私が中途採用として入社したからこそ気づいた部分かもしれません。
今後、新たに入社する方々がスムーズにキャッチアップできるよう、マニュアルの整備を進めていきたいと考えており、まずは自分の手元から取り組んでいきます。
生活面での変化はありましたか?
転職後、生活環境自体は変わっていませんが、日々の過ごし方は大きく変わりました。平日に早く帰れるようになり、家族と夕飯を一緒に食べられるだけでも嬉しく感じます。
今は家で過ごす時間が好きになり、精神的な余裕も生まれました。その影響か、これまであまりしてこなかった料理にも挑戦するようになり、週末には作り置きをして妻の負担を少しでも減らせるよう心がけています。
というのも、前職では長期出張が多く、妻に負担をかけてしまっていました。現在も海外出張で二週間ほど家を空けることがありますが、できるときには家事を積極的に分担したいと考えています。
また、子どもと過ごす時間も増えました。先日は、会社主催の砂浜清掃と子亀の放流イベントに子どもと一緒に参加しました。子亀に触れられて子どもは大喜びでしたし、ゴミ拾いを通じて地域に貢献できる貴重な機会にもなりました。とても良い経験をさせてもらったと感じています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
まずは、転職支援会社を活用することをお勧めします。良いコンサルタントであれば親身に相談に乗ってくれるだけでなく、転職先の情報にも精通しており、手厚いサポートを受けることができます。しかも費用はかからないため、利用しない手はありません。
転職活動には一定の労力が必要ですが、決して無駄にはならないと思います。実際に転職するかどうかは、内定が出てからじっくり考えてもいいでしょう。
今の会社に疑問を感じ始めたら、転職活動に踏み切ってもいいと思います。社内での部署異動も一つの方法ですが、転職によって環境を大きく変えるのも良い選択です。
また、私は38歳で転職しました。かつては「35歳を過ぎると転職が難しい」と言われていましたが、現在は時代が変わり、年齢に関係なく経験を積んでいれば採用の可能性があります。実際、私の知人には57歳で良い転職をした方もいます。年齢を気にしすぎず、ぜひ積極的にチャレンジしてみてください。