ヤマハ発動機株式会社
河野大樹さん(仮名・事業企画) 27歳
転機は今。掴み取ったのは、憧れた企業での「新規事業開発」という仕事。
理系の大学を卒業し、電子機器メーカーでハード設計業務を担当していた河野さん。新規事業を創出するプロジェクトへの参加を機に、「新規事業企画を自分の仕事にしたい」と考えたのが転職のきっかけだったという。
当時就いていた設計職とは畑が異なるものの、「それでも絶対にこの仕事を自分の生業として生きていきたい」という想いは熱く、社内異動を申し出る。しかし、その希望は簡単には通らず、転職という手段でその夢を叶えようと決意する。
そして、売上2兆4,000億円を誇る日本を代表する企業「ヤマハ発動機」の新規事業企画職として転職に成功。「現在は仕事が楽しくて、毎日ワクワクしています」と語ってくれた河野さんの転職活動について詳しく伺った。
※本記事の内容は、2024年11月取材時点の情報に基づき構成しています。
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで90日間
転職前
- 業種
- 電子機器メーカー
- 職種
- ハード設計
- 業務内容
- ネットワーク機器の構造設計業務兼、新規事業創出のプロジェクト担当
転職後
- 業種
- 輸送用機器メーカー
- 職種
- 事業企画
- 業務内容
- バッテリーサーキュラー事業の企画立案
希望したのは、設計職から企画職という珍しいジョブチェンジ。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
ヤマハ発動機は静岡県磐田市に本社を構える輸送用機器メーカーで、オートバイやマリン製品を中心に製造しており、二輪の売上規模は世界第3位を誇っています。
私は入社してまだ5ヶ月ほどですが、技術研究本部共創ビジネス開発部のBCE事業推進グループに所属しています。BCEはバッテリー・サーキュラー・エコノミーの略で、自社モビリティで使われたバッテリーの二次利用の使い道を検討する業務を担当しています。
環境意識が高まる今、リユースバッテリーは貢献度も高く、さまざまな可能性を秘めています。リユースバッテリー事業を協業してくれる業者を探し、共に新たな事業の可能性を模索したり、リユースバッテリーについて利用者がどのように捉えているかリサーチしたりといったマーケティング業務も行っています。
普段はオフィスでPCに向かって仕事をすることが多いですが、他部署や子会社から社外まで、組織の垣根を超えてコミュニケーションを図っています。また、展示会に足を運び、実際に自分の目で見てリサーチすることもあります。
勤務先は磐田市にある本社で、掛川市の自宅から車で40〜50分ほどかけて通勤しています。
入社前のご経歴を教えてください。
掛川市出身で、静岡大学の工学部に進学して超電導の基礎研究などに取り組みました。卒業後は、大学で学んだ3D CADのスキルを生かして機械設計の仕事をしたいと考え、大手電気メーカーのグループ会社に入社しました。
ネットワーク機器の樹脂やハード部分の設計を担当し、それと並行してメタバース(仮想空間)の新技術探索業務も手掛けていました。もともとは機械設計職として入社し、仕事にやりがいを感じていましたが、入社2年目に社内で新事業の創出プロジェクトがあるのを知り、チャレンジしたいと応募してみました。
念願が叶ってプロジェクトに参加したところ、その仕事がすごく面白くて、思い切って職種を変えて新規事業企画をメインでやりたいと思うようになりました。
転職のきっかけは?
何もないところから新規事業の可能性を探り、手探りでゼロからイチを考え出すことが楽しくて、これだけ自分が面白いと思えることを仕事にしたいと感じたからです。何とかその想いを実現させるために、まずは社内で部署異動したいと働きかけました。
新事業プロジェクトの際は私が役員に直接プレゼンしていたので、その繋がりから異動できないかと相談したこともありました。しかし、所属部署との交渉がなかなか思うように進展せず、結果的に異動は叶いませんでした。
それでも新規事業企画職へのジョブチェンジという希望を諦めることができず、「それなら転職してでも実現させたい」と決意しました。機械設計から新規事業企画へという決して簡単ではないジョブチェンジだったので、「動くなら早い方がいい」と行動に移しました。
転職活動はどのように進めましたか?
まず転職サイトに登録して、どんな求人があるのか調べたり、届いたメールを見たりしていました。機械設計から新規事業企画という、とても難易度の高い転職を希望していたので、本当に実現可能なのかもわからなくて不安な気持ちもありました。
そんな時、「リージョナルキャリア静岡(株式会社リンク・アンビション)」の内田さんから「一度話をしませんか?」とメッセージをいただきました。内田さんが転職コンサルタントとして、とても高い実績を残されている点に興味を持ち、面談をお願いしました。
他の転職支援会社とも話をしましたが、私の経歴から、機械設計の求人を薦められることがほとんどでした。しかし、内田さんは担当した新規創出プロジェクトでどんな役割だったか、どんな実績を残したのかを詳しくヒアリングして、機械設計としてのスキルではなく、新規事業企画としてのポテンシャルをみて「希望を叶えられる会社がある」と提案してくれました。
内田さんは必要な情報を適切なタイミングで的確に提供してくれたので、在職中でもストレスなく、転職活動を進めることができました。
今の会社に決めたポイントは?
求めていた新規事業企画に関する仕事をできるのが一番大きなポイントですが、それに加えて、一緒に働く予定のメンバーと話をする機会が持てたことです。
面接の際、今一緒に働いているメンバーが同席してくれましたが、朗らかな方ばかりで、中途入社でもスムーズにチームに馴染めそうだと感じました。
私自身、はじめての転職だったこともあり、仕事内容はもちろん大事ですが、どんな方々と一緒に仕事をするのかもとても重要視していました。そのため、面接時に一緒に働くチームのメンバーと会えたことで、より一層、「ここで働きたい」と感じました。
自分が本当にやりたいことを仕事にする、それを叶えるために早く行動に移した。
転職していかがですか?
価値が見えないものに対して、自分なりの考えや他の方の考えを駆使して意味付けでき、さらに新たな事業を起こせるかもしれないという点に、ワクワクしながら働いています。
直接的に、また短期的に成果を出して売上を稼ぐ部署ではないことを理解しながら業務に取り組み、量産の部署にもうまく提案して理解を得ることで、「確かに必要だ」と思ってもらえる新しい事業を展開したいです。
そうやってできた事業や商品が、いつかカタログに載ったら嬉しいですね。年月はかかると思いますが、社会的にもインパクトを残したいと思っています。
転職して良かったと思うことは?
社内の自由な雰囲気も気に入っています。手掛けている製品が趣味や娯楽系で、人を感動させるという目的なので社内も自由度が高く、社員の主体性を重んじている感じがしますね。
また、今の仕事は企画なので、さまざまなことを広く知っている必要がありますが、前職の経験や大学で学んだ機械工学の知識を活かせる場面は意外と多いと感じます。
今の部署は前職よりも年齢の近いメンバーが多くて、仕事もプライベートも共有できる方が多いのも良かった点の一つです。
私はこれから子育てが始まる立場ですが、部署内に男性で育休を取得している先輩がいるので、安心感があります。男性で育休を取得する方も多く、本当に働きやすい環境が整っていると感じます。
また、ヤマハ発動機はフリーアドレス制で、座る席は基本自由です。ある日、私の隣の席に座った社員と話をすると、なんとその方もリージョナルキャリア静岡の内田さんの紹介でヤマハ発動機に入社していました。
思いもよらない共通点で、とても話が盛り上がりました。キャリア採用の方がとても多く、馴染みやすいのも大きなポイントです。
困っていることや課題はありますか?
仕事上で困っていることは特にありません。前例がない仕事なので、手探りで不安を感じることはありますが、この仕事はそういうものですし、それも醍醐味だと思います。
私は普段から物事を考えることが好きで、プライベートの時間でも新しい事業のことを考えてしまうほど。せっかく働くのであれば、楽しくできた方がいいと思っているので、今の仕事に就けて本当に良かったです。
生活面での変化はありましたか?
生活自体は前職とあまり変わっていません。始業は8時45分で、定時は17時30分ですが、私の部署はコアタイムなしのコアレスフレックスタイム制。手当が発生しない時間であれば働く時間は自由で、私はだいたい9時に出勤しています。
在宅勤務の日数制限は部署によりますが、私は週に2回くらいで、自宅ではリサーチや資料作成を行っています。就業環境は非常に先進的で、とてもリラックスして業務に取り組めます。無駄なストレスがない分、高い生産性を維持できます。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
本当に心からやりたいと思える仕事があるなら、すぐに転職活動を開始することをおすすめします。やりたいことができる環境に身を置くには、待つだけでは実現しません。積極的に行動するしか方法はありません。
今回の転職は、「企画職をやってみたい」だけでは採用されなかったかもしれません。経歴や希望だけを聞いて求人を紹介するのではなく、過去の仕事をひも解いて、ポテンシャルまで見て評価してくれる転職支援会社を選ぶことが大切です。
リージョナルキャリア静岡は、特にヤマハ発動機のことを熟知していたこともあり、私の希望を叶えることができました。難易度の高い転職だからこそ、本当に力になってくれる転職支援会社やコンサルタント選びが非常に重要だと感じました。