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屋外搬送の自動化で現場に彩りを。テクノロジーで「しわ寄せ」を解消する。

株式会社eve autonomy
代表取締役CEO 星野 亮介

更新日:2026年8月19日

高校卒業後に単身渡米。帰国後、慶應義塾大学総合政策学部に入学。2003年、日産自動車に入社。グローバル・セールス&マーケティング部門にて、南米地域の顧客満足度向上活動を担当。2006年、モルガン・スタンレー証券に移り、日本の自動車業界担当アナリストとして10年間勤務。担当企業のひとつであるヤマハ発動機の事業内容とカルチャーに魅力を感じ、2017年に同社へ転職。新事業開発部門でグリーンスローモビリティの実証実験や屋外搬送の自動化に取り組み、eve autonomyの立ち上げにも従事。グループ関連会社での事業企画部長を経て、2023年3月に株式会社eve autonomy代表取締役CEOに就任。同社のビジョン『すべての「働く」に彩りを』の実現に向け、屋外自動搬送サービスの拡大に取り組む。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

この記事でわかること

  • 工場・物流施設の屋外搬送を自動化する株式会社eve autonomy
  • ヤマハ発動機の社内プロジェクトから、合弁会社設立へ
  • 「納得の2台目」へ、現場の声から機能と車両を磨く
  • 各分野のプロを迎え、裁量を持って自走する組織へ
  • 「愛ある者であれ」を行動規範に、互いを支える文化

ヤマハ発動機の社内プロジェクトから発展し、合弁会社を設立。

株式会社eve autonomy(イヴ オートノミー)は、工場や物流施設の敷地内における屋外搬送の自動化に取り組むスタートアップ企業です。ヤマハ発動機とティアフォー(自動運転のオープンソースソフトウェアを開発するディープテック企業)の合弁会社として2020年に誕生しました。

国内初となる屋外対応無人搬送サービス「eve auto(イヴ・オート)」の提供を2022年から開始。国内外の製造・物流現場を中心に、屋外搬送業務における課題解決を支援しています。

ビジョンである『すべての「働く」に彩りを』の実現を目指し、テクノロジーで屋外搬送の現場をより良く変える挑戦を続けています。

ヤマハ発動機の社内プロジェクトから発展し、合弁会社を設立。

私がeve autoの原型と出会ったのは、ヤマハ発動機の新事業開発部門に在籍していた2018年です。ある日、上長から浜北工場で取り組んでいるプロジェクトについて話を聞きました。

そのプロジェクトとは、屋外搬送の自動化。自動運転の実験用装備を搭載したゴルフカーを活用し、工場が抱える長年の課題の解消に取り組むプロジェクトです。

ヤマハ発動機の製造技術部門が、ゴルフカーに搭載されている自動運転ソフトウェアの開発元であるティアフォーに委託して進めていて、事業化する価値のあるプロジェクトだというのです。

さらに、上司はこう続けました。「猛暑でも暴風雨でも、昼夜を問わず、計画生産を守るために誰かがこの大変な仕事をやっている。こういった困りごとは、ヤマハ発動機だけではない。日本はもとより世界中にあるはずだからトライすべきだ」。事業化の意義に強く共感し、私はその場でプロジェクトへのアサインを快諾しました。

当時担当していたCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)活動やラストマイルソリューションのプロジェクトから本プロジェクトに軸足を移すときには、すでに走行試験やハード・ソフト両面の改修が繰り返され、車両の走行計画や予定を管理する運行システムの開発も進んでいました。

事業化の検討や調整にかかった時間は、約1年。その間に度々浮かび上がってきたのがハードとソフトの責任分界点の問題です。新しい技術ということもあり、車両がうまく動かないときの原因の切り分けが一筋縄ではいかない状況でした。

問題を押し付け合っていては、事業化してもお客さまに迷惑をかけてしまいます。それなら「同じ船に乗りましょう」という結論に至り、2020年2月にヤマハ発動機とティアフォーのジョイントベンチャーとして、eve autonomyが誕生したのです。

国内初、屋外対応の無人搬送サービス。「納得の2台目」で拡大へ。

会社設立がコロナ禍の困難な時期と重なりながらも、eve autonomyは初代社長のもとで商品化を着実に前へ進めました。浜北工場での試験走行と安全確認、見込み客の開拓、お客さま先での運用トライアル……。

半導体不足による生産遅延などの苦境も経て、ようやく2022年11月30日に販売日を迎えることができました。国内初となる屋外対応無人搬送サービス「eve auto」を世の中に送り出し、屋外での過酷な搬送業務を自動化するための挑戦が動き出したのです。

2023年3月、初代社長からバトンを引き継ぎました。ゼロからイチを創り出すフェーズを終えたeve autonomyのビジネスをスケールさせることが私に与えられたミッションです。

就任後すぐに取り組んだのは、組織づくりでした。マーケティング・営業・カスタマーサクセスといった各部門のプロを積極的に採用。ビジネス拡大の牽引役を外部から迎え、ヤマハ発動機とティアフォーのメンバーを中心とした人員構成から、eve autonomyで採用した従業員中心の組織へと変容を進めました。

ビジョンとミッションの見直しも行い、ヤマハ発動機の関連会社という立場から、eve autonomyという会社へと脱皮を図った時期でもあります。いまは、既存のお客さまの追加導入につながる「納得の2台目」を実現していく段階です。屋外搬送の自動化が認知され、eve autoがその候補に上がる状況までは確実に来ています。

現在は国内の60拠点以上で、90台以上が稼働していますが、稼働台数を伸ばしていくには、「台数を増やしたい」「他の拠点にも導入したい」と既存のお客さまからさらなるご依頼をいただくことが必要です。

屋外搬送は現場ごとにさまざまなニーズがあり、単に搬送を自動化するだけでは課題解決ができない現場も少なくありません。そうしたニーズにも対応できるよう、ソフトウェアの内製化や新たな車両開発も進行中です。

成田空港での自動搬送サービスの実用化など、製造業・物流業を超えた新領域への展開も始まりました。「納得の2台目」で導入拡大を進めるために、現場からのリクエストに一つひとつ応えていく、地に足のついたソリューションの提供に力を入れています。

誰も正解を知らない、未知の領域。チームで成果を上げていく。

屋外の無人搬送は新しい市場で、誰も正解を知らない領域です。外資系企業のカスタマーサクセス出身者や大手メーカーの元エンジニアなど、さまざまな業界からプロが集まってはいるものの、まるで広い海へ海図を持たずに出航するような、試行錯誤を繰り返す日々が続いています。

そのため、仕事の仕組みや進め方が決まっていないことも多く、裁量を持って自走したい方のほうが実力を発揮しやすい環境です。またBtoBビジネスの経験があり、お客さまと粘り強く向き合うことが得意な方は、手応えの多い仕事だと思います。

ほかには、小さい会社ながら、開発からアフターサービスまで広いバリューチェーンを自社で担っていることも特色です。自分の仕事に誇りと責任をもちながら、チームで成果を上げることを楽しめる方が仲間に増えるとうれしいですね。

そして私たちが大切にしている、利他の精神。行動規範の筆頭に「愛ある者であれ」を掲げており、ここには縁の下の力持ちになれる人が集まっています。

これまでも採用のたびに、一人が生み出すインパクトを実感してきました。会社としてできることの幅が広がっている感覚があります。新しい仲間が増え、会社の幹がさらに大きくなっていくのがとても楽しみです。

一合目から山頂を目指す。最高の景色を一緒に見に行こう。

屋外搬送のように過酷な作業は、さまざまな業種で世界中に存在しています。誰かがしわ寄せの犠牲になっていることも現実です。だからこそ、そうした作業をテクノロジーで補えるなら、私はそうすべきだと強く思っています。

eve autoを生み出してから4年。現在地を登山に例えるなら、一合目です。想像以上に多くのニーズがあって手応えを感じる一方で、屋外自動搬送の世界の全貌はまだ完全には見えていません。私たちが想定していない活用方法も数多くあると考えており、山頂は遥か先にあると認識しています。

日々の業務はとても地道で、さまざまな出来事を乗り越えていくことの連続です。大変なことも少なくありませんが、自身の手がけることがサービスと会社の成長に直結する、そんな手触り感のある仕事に携われることが、ここで働く一番の魅力ではないでしょうか。責任と喜びが共存する、リアルなビジネスのヒリヒリ感を味わえるのは、ビジネスを拡大させるこのタイミングだからこそです。

働き方の面ではフルフレックス制を採用しており、基本的に時間も場所も自由度高く働くことが可能です。また本社のある磐田市は、とても自然豊かな地域。サーフィンや釣り、ゴルフなどオフの過ごし方の選択肢にも恵まれています。

世界中の「運ぶ」を、より良く変えていきましょう。私たちが灯す彩りは、働く人々の力になるはずです。静岡発のスタートアップで、あなたも一緒に挑戦しませんか。彩りあふれる最高の景色を一緒に見にいきましょう。

編集後記

チーフコンサルタント
内田 康太

星野社長の言葉の端々から事業に対する揺るぎない覚悟と情熱が伝わってくるインタビューでした。「猛暑や暴風雨の中での過酷な搬送作業をなくしたい」。その真摯な思いが同社の原動力となっています。

利益や成長を追い求めるだけでなく、「すべての『働く』に彩りを」というビジョンのもと、純粋に誰かの役に立とうとする姿勢に深く胸を打たれました。

屋外搬送の自動化という、誰も正解を知らない未知の領域への挑戦。それは決して平坦な道ではありませんが、事業を通じて社会の課題を直接解決していく手応えは何物にも代えがたいはずです。

「eve auto」が目指す頂きは遥か先ですが、必ず山頂で素晴らしい景色が見られると強く確信しています。これからの大きな挑戦に向けて、私自身も全力で応援していきたいと考えています。

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