三井・ケマーズ フロロプロダクツ株式会社
星野幸太郎さん(仮名・人事) 34歳
転職でプレッシャーから解放され、仕事、時間、お金、すべての面で余裕ができた
以前は地場大手企業の人事部に勤務していた星野幸太郎さん(仮名)は、時代に合わせた働き方の実現を目指し、常に制度見直しや新たな制度作りに奔走していた。ところが皮肉にも、忙しすぎて自身の残業は増える一方。しかも会社が大きいため、なかなか意見がまとまらない。いつの間にか、慢性的なプレッシャーに悩まされていた。そしてある日、「このままでは、何も変わらない。そろそろ自分が変わらないといけない」と思い立ち、転職活動を開始。新天地として選んだのは自分が考えていた「理想的」な規模の日米企業の合弁会社。同じ人事職だが、プレッシャーから解放され、残業もほぼなくなった。「更に待遇面も改善され、転職した結果、全ての面で余裕ができました」と笑顔で語る星野さんの体験談を紹介する。(※本記事の内容は、2019年10月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 転職回数
- 0回
- 転職期間
- エントリーから内定まで180日間
転職前
- 業種
- サービス業
- 職種
- 人事職
- 業務内容
- 人事制度の企画・導入・運用。その他、労使交渉、賃金テーブル見直しを担当。
転職後
- 業種
- 国内で唯一テフロン(TM)の研究・製造を行うフッ素化学専業メーカー
- 職種
- 人事職
- 業務内容
- 人事労務管理、就業規則の見直し等。
悩み続けて気がついた。「会社は変えることが難しいが、自分は変われる」
現在のお仕事はどんな内容ですか?
当社は、米国ケマーズ社の日本法人「ケマーズ株式会社」と、「三井化学株式会社」との折半出資による合弁会社です。1963年の会社設立以来、フッ素関連製品に特化した事業を展開しています。代表的な製品はフッ素樹脂「テフロン(TM)」。当社が製造販売する高品質・高機能なフッ素樹脂テフロン(TM)およびフッ素化成品は、半導体、自動車、化学プラント、情報通信、電池・エネルギー分野をはじめとする様々な最先端分野で不可欠な高機能素材として使用されています。私は清水工場内にある総務人事部に所属し、同僚とともに会社全体の人事労務管理や、就業規則の見直しなどに取り組んでいます。
入社前のご経歴を教えてください。
愛知の高校から、静岡大学に進み、そのまま静岡の大手企業に総合職で入社しました。マーケティングや経営管理などの部署を経験させて頂いた後に、人事部門に定着。最後の6年間は、現職と同じ労務管理、人事制度改定、労使交渉の窓口などを担当していました。
転職したきっかけは?
前職は規模が大きく、非常に多くの事業を手がけていました。そうした環境の中で、社員全員に適した制度を作っていく難しさをずっと感じていたんです。「あちらを立てれば、こちらが立たず…」ということばかりで、多くの方から様々な意見がありました。取りまとめが難航したあげく、結局、中途半端な制度になってしまうこともしばしば。そんな経験から、もう少し事業領域を絞った一体感のある会社で働きたいと考えるようになりました。もう1つの理由は異動の多さでした。異動すれば経験のない仕事をまたイチから勉強する必要があります。社内だけではなく、グループ会社へ異動になる方も多くいました。そんな先輩たちの姿を見て将来的な不安を感じていました。あるとき、「自分ができないことを何とかしようとしてずっと悩んでいても現状は変わらない。それなら、自分ができることを変えた方が良いのでは」と気づき、転職活動をスタートさせました。
転職活動はどのように進めましたか?
人材紹介会社を活用したいと考えていましたので、「静岡 転職」というキーワードでネットを検索し、見つけたのが、リンク・アンビションの「リージョナルキャリア静岡」でした。理由は静岡エリアでの転職を希望していたので、静岡に特化した人材紹介会社の方が良いと思ったからです。ただ、希望職種については、人事を続けるか迷いがありました。しかし、コンサルタントの伊藤さんと話をしているうちに、考えが整理されて迷いが無くなっていきました。まず面談でじっくり話を聞いて頂き、私の考えや希望を理解して頂いた上で、「今から新しい職種にイチから挑戦するよりも、これまでの経験を活かしたほうがいいのではないか」というアドバイスを頂きました。自分でも改めて考えてみると、人事の仕事が嫌いなわけではなく、トップダウン色が強すぎる環境が苦手ということに気づきました。話を重ねていくうちに「環境が変われば、また違った人事の面白さを感じられるのでは」と、思うようになりました。そして、社員が自立的に働き、会社が成長するような人事制度を求めている企業の人事を探し始め、伊藤さんから、その条件に合う企業を2社紹介して頂きました。
今の会社に決めたポイントは?
それまではずっとサービス業だったのですが、もともと製造業にも興味がありました。会社規模も300人程の成長しているトップシェア企業で、チャレンジしたいと感じました。また、今の会社は半分外資系なので、経験したことがない社風も魅力的でした。そして、これまで人事として見てきた働き方改革の先進事例では、その多くが外資系だったことも意思決定の大きなポイントでした。また、異動もほとんどないということで、この会社なら人事のノウハウを蓄積しながら、自分のやりたいことに挑戦できるのではないか、と考えました。他には、引っ越しをしないですむ、というのも決め手になりましたね。実は妻からも、「転職はいいけど、引っ越しはしないでね」と言われていました。
「生産性を重視、付加価値で勝負」だから残業をしない、給与も高い好循環に。
転職していかがですか?
今回も人事職なので、仕事内容としては大きくは変わりません。入社前とのギャップも現状感じません。ただ事業内容が異なりますので、専門用語がわからないことも多く、初めは戸惑うこともありました。それでも、仕事自体は毎日が充実しています。主体性を重んじる社風なので、前職とは異なり、ボトムアップの比率が高いように感じます。残業も格段に減り、以前は21時や22時に帰るのが当たり前の生活でしたが、今はほぼ毎日、定時の17時には仕事を終えています。仮に残業があっても18時退社という生産性の高さです。忙しい時期には残業している方もいますが、ほとんどの方が定時で帰宅しています。転職して、働く時間が短くても、高い付加価値を生み出すことができる、生産性の高い働き方を実際に体感できています。
生活面でも変化がありましたか?
残業がほとんどないので、自宅に帰る時間は早くなりました。会社から自宅までは車で約40分。道は混みますが、それでも18時には自宅に着きます。帰宅後は子どもたちと過ごす時間が増え、今まで以上に家族サービスもできるようになりました。子どもは今、6歳と4歳。大事な時期に家族との時間が増えたことで、子どもたちも喜んでくれています。また、時間に余裕が持てたことで、以前から取り組もうと考えていた、社労士資格の勉強も始めることができました。
困ったことや課題はありますか?
海外とのやり取りもある会社なので、英語力を求められるようになりました。先日、米国ケマーズ社の方が社員に向けてプレゼンする機会がありましたが、すべて英語でした。今の部署の仕事で英語が必要になることはほとんどないようですが、管理職になるためには、一定以上の英語力が必要になります。これから少しずつ英語力も身につけていきたいと考えています。
転職してよかったと思うことは?
すべてにおいて、余裕ができました。前職では、常にいくつかの課題を抱えていて、プレッシャーも感じていました。休日も気が付くと仕事のことを考えていたように思います。しかし今は、メリハリのある生活ができています。時間に余裕ができ、家族との時間や、自己研鑽に充てる時間も持てるようになりました。待遇面が改善されたこともあり、生活にも余裕が生まれ、妻も喜んでいます。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
働いていれば、不満や悩みが出てくるのは当然だと思います。些細なことですぐに会社を辞めることは正しいとは思いませんが、ある程度悩み続けて、それでも解決できないのであれば、転職活動を始めても良いと思います。私も以前は仕事で悩むことも多く、「悩まないためには自分の性格を変えなきゃいけない」と思いつめた時期もありましたが、変わらないものは変わらない。でも働く場所は、自分で変えることができます。自分から動いてみる、ということが大事かもしれません。また今回は人材紹介会社のコンサルタントの方に相談できたことが大きかったと思います。転職活動中は、想像以上に孤独です。当然、社内で相談することはできませんので、コンサルタントの伊藤さんに相談し、一緒にキャリアについて考えて頂けたことはとても心強かったです。また、ネット上では載っていない情報を知ることができたのも大きかったです。後で聞いたら、現職の求人は、リージョナルキャリア静岡のみ、依頼をしていたそうです。静岡に特化したリージョナルキャリア静岡に相談して改めて良かったと思いました。