木内建設株式会社
杉山賢二さん(仮名・施工管理) 31歳
前職で培ったスキルと資格を強みに、地域を代表する会社へのステップアップに成功!
現在、静岡県を代表するゼネコンの施工管理として、大型の建設現場を担当している杉山賢二さん(仮名)。少し前までは50人規模の会社で働いていた杉山さんの転機は、27歳のときに1級建築士の試験に合格したこと。「この資格を活かして、もっと大きな現場やいろいろな工法を経験してみたい!」。そう考えるようになり、転職活動に踏み出した。「確実にスキルアップしている実感がありますね。それと同時に、前職でやってきたことも決してムダではなかったと感じています」。いきいきと現在の様子を語ってくれた杉山さんの転職体験談を紹介する。(※本記事の内容は、2019年6月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 1回
- 活動期間
- エントリーから内定まで113日間
転職前
- 業種
- 総合建設業
- 職種
- 施工管理
- 業務内容
- 保育園・小学校・高校などの公共建築物や民間施設の施工管理
転職後
- 業種
- 総合建設業
- 職種
- 施工管理
- 業務内容
- 静岡県のランドマークを手掛ける県内売上高No1のゼネコンにて、大型物件の施工管理(品質・安全・工程・コスト等)
自分の力を活かすために、あえて全国大手ではなく、地場のゼネコンを選択
現在のお仕事はどんな内容ですか?
静岡市に本社がある木内建設で、施工管理をしています。当社は大正12年の創業で、静岡県内では大手のゼネコンです。規模の大きい現場が多く、今は14階建てのホテルの建設現場を担当しています。ポジションは所長の次席。施工図のチェックや工程を考えていく役割などを任されています。
入社前のご経歴を教えてください。
愛知の大学を卒業した後、静岡県内にある社員50名程度のゼネコンに就職しました。学校や公民館などの公共施設や民間施設の建設現場で3年間ほど施工管理の経験を積み、その後は県内の中堅ゼネコンに転職しました。仕事は同じ施工管理でしたが、その会社では実力が認められ、一つの現場を任されることも多くなりました。そこに3年勤めた後、今の会社に転職しました。
転職したきっかけは?
1社目はハードワークを絵に描いたような会社でした。毎日の帰りは遅く、給料が低かったことも転職を考えた理由のひとつですが、一番大きな理由は、小規模の会社だったので後輩も入社してこず、一番下の立場で下のポジションの仕事しか任せてもらえなかったため、「このままでは成長できない」と感じていたことでした。そんな中、知人に誘われて、2社目に転職を決意しました。そして転職して2年目のときに、1級建築士資格を取得。20代でこの資格をとって施工管理をしている人は少ないと思います。だからこそ自分は、この仕事を始めた頃から、なんとしても取りたいと思って、仕事をしながら自分でお金を出して学校へも行きました。平日は深夜まで勉強、土日も返上して勉強といった毎日を経て、ついに合格できたんです。ところがその後も、仕事で任されるのは小さな現場ばかり。だんだん物足りなくなってしまったんですね。「努力して取った資格を活かし、もっと大きな現場で仕事をしてみたい」、「知らない工法を経験してみたい」、と強く思うようになりました。そこで、資格の勉強をするために通っていた学校の担当者に相談していたところ、「リンク・アンビション」を紹介されたんです。
転職活動はどのように進めましたか?
その時に任されていた現場にひと区切りがついたところで、転職活動を始めました。「リンク・アンビション」に電話すると事務所で面談することになり、自分の気持ちや希望を伝えると、その場ですぐに何社か提案してくれました。同時に、僕もいろいろ調べていて目をつけていた会社があったので、「ここを紹介してほしい」とお願いしたんです。
どんな会社を希望されていたのですか?
静岡か名古屋にある、中規模のゼネコンです。1級建築士を持っていれば恐らく、全国大手のゼネコンにも行けたと思います。ですから最初は、大手にするか、地元の中堅企業にするか、正直迷いました。ですが結局、地元の中堅企業を選ぶことにしました。
大手を選ばなかった理由は?
そのとき、僕の年齢が27歳だったんですね。この歳で今から大手に行って、「大勢いる生え抜きの社員の中で、どこまで自分を認めてもらえるのか?」という不安がありました。それなら、中規模の会社のほうが自分の力を発揮しやすいのではないかと考えたのです。そして最終的には、名古屋と静岡の2社に絞りました。
今の会社に決めたポイントは?
面接で話をしてみて、自分に対する期待が大きいと感じたからです。そのときの建築部長と専務(今の副社長で、次期社長)と話したのですが、二人ともオーラがあって、「この人たちの下で働いてみたい」と思いました。その二人が「ぜひ来てくれ!」といってくれたことが、とてもうれしかったんです。実はもう一方の会社の面接では、僕が話した野望が大きすぎたのでちょっと引かれてしまったんですよ(笑)。
どんな話をされたのですか?
自分はそれまで小規模な会社で働いてきたので、これからはやったことのない工法や、誰でも知っているような大きな建物の現場を経験したい、そしてもっともっとスキルアップしたいと、面接で言ったんです。すると面接官から、「うちよりもっと大きな会社の方がいいのでは?」と言われてしまいまして。でも、今の会社は、そんな自分の気持ちを買ってくれたんです。
大きな現場、未知の工法…すべての経験が自分の新しい財産に
転職していかがですか?
期待通りでした。初めて配属された現場がすごく大きな現場で、やったことのない工法もいろいろあって、驚きました。国の公共施設だったので、担当大臣も視察に来たんです。その現場で丸2年働きました。施工管理の社員は5人。1期工事は3番手でしたが、働きが認められて、2期工事は2番手に抜擢されました。その建物を作り上げたときは、転職してよかったと実感しましたね。その後もずっと、大きな現場を任されています。
生活面の変化はありましたか?
初めて実家を離れて1人暮らしを始めました。はじめは洗濯機の回し方も知らなかったので大変でした(笑)。食事はいつも外食やコンビニ弁当でしたが、仕事が楽しすぎて、寂しいという気持ちはなかったです。最近は少し余裕ができたので、自分でも食事を作るようにしています。今の会社に入って休暇もとりやすくなりました。大きな会社の現場は施工管理の人数も多いので、交代で休みがとれるんです。
困ったことや課題はありますか?
以前の会社では1人で現場を任されていて、お金の面にしても、業者を選ぶのも、すべて自分次第でした。ですから融通もきいたのですが、現在しっかりと手続きや手順を踏まないといけません。仕方のないことなんですが、慣れるまでは大変でした。また大きい現場は、動かす職人さんの人数も違います。前の会社の10倍以上ですから最初は戸惑いましたが、すごく勉強になりましたね。多くの職人さんといかに信頼関係を築き、動かしていくかは、施工管理として成長していくための大事なスキルですから。
転職してよかったと思うことは?
それまで経験できなかったような現場や工法を、経験できるようになったことです。教科書でしか見たことがなかった工法を初めて見たときは感動しました。しかもその建物が竣工した時、新聞に載ったんです。そんな経験は今まで一度もなかったのでびっくりしましたね。そういう建物を作れたんだと誇らしい気持ちになりましたし、その新聞記事を親に見せたら、すごく喜んでくれました。自分自身も確実にスキルアップしていると思いますし、人脈も増えました。新しい業者さんや職人さんたちとたくさん知り合えたことも、これからの大きな財産だと思っています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
迷っている人も多いと思いますが、建設業の場合は決断が遅いほど損をするような気がします。歳をとってから、新しい会社で新しい人間関係を作っていくのは大変。特に施工管理は人を使っていく仕事なので、転職の目的がはっきりしているなら、決断は早いに越したことはないと思います。事前の情報収集も大事です。僕も転職先の候補を絞った後は、横のつながりを使って、どういう仕事をしているのか、人間関係はどうかなど、自分でもかなり調べました。僕の場合、お金だけが転職の目的ではなかったので、そういう意味では、「なぜ転職したいのか」という目的をはっきりさせることがまずは大事だと思います。あと、一つ言えるのは、小規模な会社の経験もムダにはならないということ。いろいろな仕事を任されますから、トータルで力がつくんです。だからこそ大きな会社に入っても、自信を持って仕事ができているところはありますね。
今回が2度目の転職ですが、前回と比べていかがでしたか?
今回はリージョナルキャリア静岡さんにお願いしたのでとても楽でした。働きながらの転職活動だったので、コンサルタントがテンポよくサポートしてくれて、とても助かりました。こちらが依頼した希望の会社のことも調べてくれましたし、その後の応募や、面接日の設定、条件の交渉などもコンサルタントがやってくれたので、大助かり。そこを個人でやると非常に骨が折れます。自分の経験から言えば、コンサルタントの力を借りたほうがいいのは、間違いないですね。