株式会社河合楽器製作所
田中夏美さん(仮名・ 経理財務) 32歳
自分の軸はどこにある?コンサルタントとの対話で、本当にやりたいことに気づいた。
もともと大学へ進学するつもりはなかったという田中さん。高校で会計に出会い、人生が一転した。公認会計士の資格を取得するため、中央大学 商学部 会計学科へ進学することに。そして在学中に会計士の資格を取得し、静岡の総合商社へ入社したものの、実際の現場はハードだった。常に新しいプロジェクトが始まるという状況の中、経理の部署は混乱が多く、毎日仕事に追われて朝まで仕事をすることもあったという。そして入社して9年、『このままでいいのだろうか』と疑問が湧き、環境を改めようと決意した。そして今回、浜松市に本社を置く世界的な楽器メーカー、河合楽器製作所(東証プライム市場上場)に転職。入社してまだ半年という立場ながら、経理業務について意見を聞かれるなど、既に頼られることもあるという田中さんに、転職活動を振り返ってもらった。
(※本記事の内容は、2022年5月取材時点の情報に基づき構成しています)
- 過去の
転職回数 - 0回
- 活動期間
- エントリーから内定まで70日間
転職前
- 業種
- 大手商社
- 職種
- 経理財務
- 業務内容
- 経理業務全般、子会社の決算業務など
転職後
- 業種
- 楽器メーカー(東証プライム市場上場)
- 職種
- 経理財務
- 業務内容
- 原価計算、国内・在外子会社管理、制度(会計基準・税法)改正対応など
現場を知らずに経理業務をこなすことにジレンマを感じていた。
現在のお仕事はどんな内容ですか?
河合楽器製作所はピアノの製造販売を主軸としている会社です。それに付随し、音楽教室や体育教室、ピアノの塗装技術を活かした塗装事業なども行なっています。
私の所属先は経理財務部。主な仕事はピアノの製造過程における原価の計算をはじめ、標準予算と実際にかかった費用とのズレが想定内だったかを分析しています。
それからアメリカやヨーロッパなど、海外に子会社があるのですが、そちらの業績管理も担当していて、損益計算書のチェックなどもしています。現地に日本人がいない場合は、英語を使ってやりとりすることも。それから重要な役割として、会計基準や税法を確認するという業務も担当しています。公認会計士の資格を持っているので、法改正があった際、現場で実際にどのような影響が出るかをチェックし、報告しています。
入社前のご経歴を教えてください。
出身は静岡で、地元の高校に通っていました。もともと大学に進学するつもりはなかったのですが、会計に出会って勉強しているうちにすごく興味を持ち、もっと専門的に勉強してみたいと大学進学を志すようになりました。
進学先での専攻は商学部の会計学科という、まさに会計士を目指す人のための学科。早く公認会計士の資格を取りたかったので、アルバイトやサークル活動などを一切せずに猛勉強した末、大学3年生の時に合格しました。
卒業後は資格を活かし、静岡市内の総合商社に就職。所属先は経理部で、勤務期間は約9年でした。最終的には、課長的な業務も務め、会社の経理全般と子会社の決算なども担当し、全体の流れを把握しながら経理業務をこなせるようになっていました。
転職のきっかけは?
前職は総合商社でグループ会社がいくつかあったのですが、経理業務を本社で受託していました。ある子会社の経理業務を担当していた際、業務内容がよくわからないのに経理業務をする、ということに疑問を持ってしまったんです。子会社から上がってきた数字を見ても、現場のことがわからないから、この数字が妥当なのか全く判断できなくて。もっと現場とコミュニケーションを図りながら、内容を確認して業務を進めたいという想いが膨らんでいきました。このような仕事スタイルが得意な方もいると思います。しかし私はせっかく会計士の資格を取って頑張ろうと決心したのだから、自分が納得できるような仕事がしたいと思いました。年齢が上がるにつれ転職の条件は厳しくなるし、課長になってしまったらさらに辞めにくくなるため、今ならキャリアアップできそうだと思い立ちました。
転職活動はどのように進めましたか?
会計士の資格を生かして転職したいと思っていたので、まず会計士専門の転職サイトに登録。その後友人に勧められ、別の転職サイトにも登録しました。そこで声をかけてくださった転職支援会社が「リージョナルキャリア静岡(運営会社:株式会社リンク・アンビション)」です。
当時、河合楽器製作所の中途採用の募集はありませんでしたが、もしかしたら提案が可能かもしれないと、リージョナルキャリア静岡から経営陣の方に直接確認し、採用予定のなかったポジションで選考を進めてもらうことができました。私は、今回が初めての転職でわからないことだらけだったので、キャリアコンサルタントの種市さんにご指導いただき、とても助かりました。特に、ダメなところはここがダメだと、はっきり言ってくださったのが良かったです。当初は、なぜ転職したいかという理由もうまく表現できず、ちぐはぐなことを言ってしまったこともありましたが、的確に指摘して導いてくださり、心強かったですね。
今の会社に決めたポイントは?
転職したいと考えた時に思い描いた、「現場とコミュニケーションを取りながら、状況が分かった上で経理業務をする」、という働き方を実現できそうな会社だと思ったことです。内定はいくつかいただいたのですが、給与面や住む場所のことを考えると、他の会社もいいなと思うことがありました。しかしこの転職によって何を改善したいのか、それを達成できる会社はどこなのか、ということを今一度よく考えました。
実はここでも担当のキャリアコンサルタントの種市さんが相談に乗ってくださったんです。「転職して目指すべき軸をしっかり持たないといけない」、とアドバイスしてくださったので、自分に合った会社を選べたと思います。また、家族がクラシック音楽好きで、私も幼少期にピアノやバイオリンを弾いていたので、歴史ある楽器製作会社という点や、事業の軸がしっかりとした、堅実に成長している会社という点にも魅力を感じました。
前職の応用ができていると実感。穏やかな暮らしも手に入れた。
転職していかがですか?
転職してまだ半年経っていないので業務量が少なく、まだわからないところもありますが、一緒に働く方たちが優しいので、とても良かったなと思っています。前職の知識もかなり役に立っていますよ。システムは多少違いますが、経理業務は一通りやってきており、経理の基本的な考え方は会社が違っても共通なので、これまで勉強してきたことの蓄積や前職での経験が今の職場でも役立っているという実感があります。
河合楽器製作所では中途採用の人数が少ないようで、むしろ前の職場ではどのように処理していたかを聞かれることも多くて。「違う角度から見た新しい考え方を取り入れたい」と言われているので、私も力になれたらと思って業務に励んでいます。
転職して良かったと思うことは?
上司がいつも見守ってくれているのも嬉しいですね。部長とは直接話をしていませんが、職場で私が質問しているのを聞き、「仕事がわかっている質問の仕方だ」と、褒めてくださっていたと聞きました。ですから、焦らずにやっていけたらと思っています。
また、会計士の資格を持っているからこそ、任されている仕事も期待されていると感じます。法改正があった場合、河合楽器製作所において、実際のフローにどのように影響するのか。噛み砕いて、現場にもわかりやすく伝えていきたいと思っています。
困っていることや課題はありますか?
以前は静岡市に住んでいたのですが、転職に伴って引っ越して、現在浜松市に住んでいます。縁もゆかりもないため、友人が1人もいないのが、悩みといえば悩みですね。なんでも1人で楽しめるタイプなので日常生活には困りませんが、休日に友人とどこかに出かけたいな、と思うことはあります。しかし、以前に比べ穏やかに仕事ができているので、愚痴を聞いてもらわなくても大丈夫なのが良いですね(笑)。
友人はこれから作りたいと思っていて、以前から興味を持っていた、キックボクシングのレッスンに通い始めました。最初は個人レッスンですが、基礎ができたらグループレッスンも受けられるとのことなので、そこで友人ができれば更に暮らしが楽しくなるかなと思っています。
生活面の変化はありましたか?
転職したことにより生活はかなり改善して、人間らしい暮らしができているなと感じます(笑)。以前は本当に大変でしたから。仕事が終わらず、朝まで一人で仕事したこともあります。仕事帰りは、ほぼ毎日コンビニに寄っていたので、店員さんも顔見知りになるほどでした。「今日夜勤?」と聞かれ「夜勤はない会社です〜」なんて答えたり(笑)。
今では定時で帰れる日もあり、自炊する回数も増えました。今ではコンビニよりスーパーに行くことの方が多いですね。残った食材で何か別のメニューを作ろうかな、と考えるのがすごく楽しいです!
それから映画を観たり本を読む時間ができました。以前、休日はほぼ寝ていたし、ドラマなどもどうせ続けて観られないと思っていたんですが、最近は観られるようになったので、幸せを感じています。
転職を考えている人にアドバイスをお願いします。
転職する際に一番大切なことは、なぜ転職したいのかをじっくり考え、軸を持って挑むことだと思います。転職の際は給料の高い安いが気になりがちですが、それよりも仕事内容や環境が大事です。
しかし自分にとって何が大切なのかは、一人で考えていても結論が出ないもの。だからキャリアコンサルタントに相談するのがおすすめです。私はどの会社を選べばいいのかわからなくなってしまったことがあったのですが、考えを聞いてもらうと「何が言いたいかわからない」とか「説得力がない」など、率直に指摘してもらえました。それをもとにブラッシュアップしていくと、自分でも気づいていなかった、本当に求めているものに気づけると思います。私も面接で、説得力のある受け答えができるようになったと思います。
担当コンサルタントの種市さんには会社とのやりとりやスケジュール管理までしていただき、到底1人では成し得なかった転職だな、とつくづく思います。合否は担当コンサルタントから聞くのですが、「おめでとう」と言ってくれた時は泣きそうになりました。人生において、転職はそう何度もあるものではないし、短期間で終わらせたい。こんなことまでやってもらっていいのかなと思うこともありますが、利用者は求人の紹介や選考の調整、面接アドバイスなどすべての転職に関する支援を無料で利用できるので、いろいろお願いするといいと思います!